脳内神話




エデンの園へは戻れない



あまりに遠い昔なので

忘れ果てては懐かしむ

伝説神話のエデンの園


そこは悩みなき世界

摂食生殖生存本能

弱肉強食罪なき淘汰


哺乳類となり情を知り

情を知って悩みを知る

淘汰の基準が変わったから


人間となり支配の術を得て

淘汰基準は更に複雑

悩みも深まり詩を詠う程に


エデンの園へは戻れない

慾は罪だと情が言うから

情も慾だと智が言うから




orfe







神様からのお願い




愛は一度離れ掛けて
その存在に気付くという
死に掛けてもみりゃ判ること
神と愛とは同義も道理
人に神の愛なくば
骨は硬いカルシウム
肉は美味しいタンパク質
血は赤い色した塩水
人はそれらを包む袋
これらが何故に生きられる?
ハートが脈打ち
呼吸は息吹き
血潮が全身隈なく巡るは
神の力 愛あってこそ
それは誰にも備わりながら
見えず気付かず無視され続け
少し辛さを覚えれば
「おぉ!神様!」
助けを呼ぶが
一体何処へ祈っているの?
ちゃんと此処に居るだろうが!
君にだって 誰にだって
居るから気付いてやっておくれ
それにしても人の歴史は
十字架像やら大仏様など
よくも沢山作ったものだ
そんな姿はしてないし
そんな所に居やしないのに
見えないと言うより見ないからとて
それはあまりに嘘っぽいでしょ?
哲学も考えものだな
我思うはヘッドゲーム
我感じずして我関せず
イチイチ感じちゃ生き辛いから
背後で黙って見ているけれど
人の定めた掟の類は
鵜呑みする前に訊いとくれ
合点ゆけば調子は良くなり
さにもあらねば眉唾モノよ
さて いつまでも愛したいけど
そうはゆかぬが生き物の宿命
それはいつか必ず来るけど
その日までは
タップリ愛してあげるからさ
あまり私を虐めずに
私の仕事を助けて下さい


 
 

orfe







脳内神話 1「エデンの頃」



大脳皮質は考えた
人が長い進化の果てに
造り出した世界なのに
何故に斯くも生き難いのか?
自傷や自殺が後を絶たぬは
この現世がよくないから?
神と悪魔が戦うからか?
我らの脳の奥に棲む
神は健気に守ってくれるが
悪魔はすぐにぶち壊したがる
隣同士で棲んでいるのに
いつから対峙が始まっただろう?
我らの先祖が爬虫類の頃
ふたつは仲良くやれていた筈
己が生きるためだけならば
このふたつで問題なかった
(殺伐とした世の中だったが・・・)
他者と上手くやってゆくため
哺乳類の脳が生まれ
より善く生きてゆくために
大脳皮質に皺ができたが
随分歴史を重ねてきても
まだ上手くは使えていない
確かに修行の要ることだけど
何のためにある脳なのかの
認識がまだ足りていない
我らは進化の途中であって
この世に進歩の余地もある
ところでそこでハタと気が付く
この問題の大元は
何故その様な進化が要るのか?
何故爬虫類ではダメだったのか?
その裏には遺伝子の
より佳き者に成りたいという
我らの願いがあったのだった!


 
 
orfe









脳内神話 2 「遺伝子の原罪」


より佳き者に成りたいと
我等の祖先が願った時から
他者と上手くやってゆく
必要が生まれた結果
脳は発達してきたけれど
それと同時に選択が始まり
運以外の平等は崩れた
それは自我と意志の始まり
選ばる者と選ばれざる者
各自の思う理想に照らし
篩に掛けては切り捨てる
高望みな冷酷には
何とか錯誤を与えてでも
自らを選ばす汚い詐術
狡さを覚えた遺伝子の願いが
狡猾な悪魔を生んだが
それは人の認識にあること
原罪と呼ぶ輩も居る
大脳皮質は智彗の下
その本性を装うために
存在理由の明らかなる悪魔に
対峙するための新たな神を
捏造せねばならなかった
それはまた
別の新たな悪魔を生んだが
人もまた
新たなる救世主を造り続けた
その鼬ごっこの連鎖の中で
真の神は忘れられたが
繰り返される茶番の悲劇にも
原初の願い
遺伝子の意志はそれら全てを
取り込まんと日々努力する
大脳皮質を更に育て上げ
より佳き者に成るという
生命本来の目的のために
 
 



orfe









脳内神話 3 「堕天使誕生」


爬虫類の脳にとっては
目の前のものに対して
・身の置き所は安全か?
・それは食える物かどうか?
・生殖可能な者かどうか?
それだけ判断できればよかった
生命永らえるに必要な力
脳幹が神だとすれば
爬虫類脳はそれを補佐する
生命に仕える天使と言えた
斯くの如く
エデンの時代は悩みなき世
シンプルな弱肉強食 
運と不運
必然だけが掟としてある
神と天使の蜜月は続いた
星が落ちたかエデンは終わり
恐竜たちの滅んだ後は
かつての様には恵まぬ自然
生き辛くなった環境に在り
哺乳類は種の存続の為
母の子への庇護の下
情の快楽を知る者となった
弱い生き物ゆえの知恵で
我が子を守る慈愛の性を得て
また同時に正反対の
仮借もなき冷酷さで
評価と取捨の技を身に付ける
情愛を注ぐに足る
子を産めるかは大きな問題
これは嘗ての必然ではなく
意思的差別による淘汰
仲間や異性の目に止まろうと
美しい毛並みや高い能力
外観身体優劣を競うが
爬虫類からの進化の証しに
糧を分け合い安堵を与える
情が彼らの美徳となった
種族認識から掟が定まり
技を業とする社会が成る頃
爬虫類的旧本能は
忌み嫌われる欠点とされ
嘗ての天使は悪魔と呼ばれた


 
 

orfe










脳内神話 4 「人の成立」


喜怒哀楽そして恐れ
我等の先祖哺乳類が
得た感情と引き換えに
封印した爬虫類の性
喜哀楽は新生脳に
怒りと恐怖は爬虫類の
脳が受け持つこととなったが
我等の生命維持にとって
このふたつは重大認識
これらは元からあったのだろうか
もしそうなら
エデンは怒りと恐怖に充ちた
地獄だったのかも知れぬが・・・
それはともあれ
我等の先祖は情を手に入れ
初めて生を認識する
生を概観するのは主観
それは情で観る世界である
弱者だった我等の祖先が
道具を使い 火を使い
群れを作り 社会と成し
言語と文字を操れる頃
新たな脳が台頭する
大脳皮質と呼ばれるそれは
人間と他の動物たちとを
明らかなる一線で画し
そのずば抜けた能力は
食物連鎖の頂にも立たせた
この脳は
他の三脳が司る
生命 本能 心を統べて
御するに能う精神を創る
精神こそは人の証し
それは知力に因る所のもの
知力は人を月にも立たせ
この星の覇者と成したが
まだ肝心の自らのこと
遺伝子よりの原初の願い
より佳き者になるという
目的には程遠い
何かがまだ足りないのだが
いつ人間は
次の進化を遂げるだろうか


 

 
orfe











あなたの神



天地宇宙を創造したり 
時の流れを決める如き 
擬似人格を想像しては
それを神と呼んだとしても
直接あなたには関係がない
もし仮にそんな者が
宇宙の何処かに居たとしても
あなたの中で日々生まれ死ぬ
ひとつひとつの細胞などに
あなたが思いを持たぬと同じく
彼はあなたに興味はない
だからと言って
恨んでみたり卑下したりは
元より根拠が誤っている
それはそれとして置くべきものだ
また 遺伝子も神ではない
それは種の意向であり
或る行為にあなたを誘う
逆らい難いものではあるが
あなたを生かす基ではない
あなたを作った基ではあるけど・・・
あなたは生命
あなたを生かす神は常に
あなたの中で働いている
その神は
あなたが喜びの波動に在る時
あなたから力を得て
あなたの生命を輝かせよう
もちろんその逆もあり得る
風邪を引いたり胃に穴あけるは
少し不敬が祟ったものかな
あなたが神を敬うならば
より佳く生きる日々の努めの
精神高める充足の内に
あなた自身を置くを求めよ
全能だったエデンを夢見て
より佳き先を常に思わん
それがあなたの神への祈り
また 神よりの報酬となろう


 
 
orfe











帰り来ぬエデン



人としてこの世に生を受け

困ったことに

この生の使い方が解らない

こんな悩みを人の他に

どの生き物が持つだろう?


その自意識が悲劇の元だが

更なる悲劇は己が悩みを

別で補償させんとすること

他者を支配できたとて

己がエデンは実現しない


己が悩みは他もまた悩み

ともに寄り添う術もある

せっかく手にした慈悲の力に

目を向けずに何としよう

爬虫類にはもう戻れないのに


 
 
orfe















人類の戦い



秋 稲穂は黄金に染まり
たわわに実る自然の恵みを
我等よりも小さな生き物
雀はそのまま享受できる
人間は米の硬い殻を
自力で全く消化できない
刈り取り脱穀炊飯して
初めて我等は口に運べる
なんと手間の掛かることだろう!
雀は苦もなく生きてゆけるのに・・・

人にとって
自然は決して優しくなかった
人は相当悩んだ末に
集まり知恵を交換し合って
自然と戦う術を得てきた
哺乳類は進化の過程で
協調共同 慈悲と感謝
共有する利を覚えたけれど
それはこの身が自然に弱く
この星で生きてゆくには
不適格な存在なるがゆえ

四季の巡る気候の中で
自然をそのまま食せない
雀にも劣る生存能力
まるで突然他の星から
運ばれ置かれた如き無様
一体この星のどの生き物が
食べるに調理を要すだろうか?
人に原罪があるとするなら
この不適合こそそう言えるだろう

生物としての劣等感
人間だけがそれを背負う
他の生き物には優しく微笑む
母なる自然はまるで継母
克服すべき厳しい敵
やがて人類はこの戦いに
勝利したかにも見えてきたが
所詮は此処から生まれ来た者
己の台座を食い潰しては
己の居場所も失くしかねない

もう戦いは充分だろう
今更愛されることはなくても
少し愛することを覚えよと
自然の声は溜息吐いてる
それは哺乳類の性として
また大脳皮質の能力として
既に我らに与えられたもの
それを生かしてみればどうだ?と


 
 
orfe